観缶楽学 第3話

 あなたの仕事、子供に誇れます?

 缶ジュースが集まってくるにつれ、商品や飲料メー
カーの歴史、ネーミングの由来などを知りたくなって
きました。やはりこういう時は企業に直接聞くのが一
番、ということで、質問の手紙を出しまくりました。

 しかし返ってきた返事は、「わからない」とか「資
料が無い」という理由のオンパレード、非常に簡単な
質問なのに、「お答えいたしかねます」なんて回答を
してきた会社もありました。ところが、その会社、後
日活動実績もいっしょに付けて再度手紙を書いたら、
180度態度が変わって「がんばってください」なんて
返事をいただきましたが。

 アメリカはどこの会社も自社製品について、非常に
詳しく記録しています。ジュース瓶一本でさえ、どう
いう経緯で製造されたのか一目瞭然です。コカ・コー
ラのように、自社製品の博物館を持っている会社もあ
ります。アメリカにおいて、伝統や歴史は、受け継ぐ
だけでなく、自ら作るものだ、という意識を非常に強
く感じます。これは国の歴史が短いからなのでしょう
か。

 日本の企業が自社製品の歴史を残そうとしないとい
うのは、過去を知られたくないからなのでしょうか。
自社製品はその会社の歴史であり、また、そこに勤め
ていた社員たちの輝かしい実績だというのに。

 親は子供に「昔これを作ったんだよ」と自分のやっ
てきた事を見せることができない、胸を張って言える
ような仕事をやっていない、よって、子供は親が会社
で何をやっているか分からない、働くことの尊さを教
わらないという事態が、今の社会の状況を生んでいる
のではないかと思います。まさか、「お父さんは総会
屋さんを相手にお仕事しているんだよ」なんて言える
わけないでしょうから。

 「過去に目をつぶる者は未来に対しても盲目である」
でしたか、ドイツの大統領の言った言葉があります。
日本の企業も、過去の記録をしっかり残し、未来への
遺産としてほしいものです。

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