観缶楽学 第7話

 思い出は刷り込まれるもの?

 新潟大学五十嵐キャンパス近辺のアパート街を歩く
と、ごみ捨て場にビール瓶や一升瓶が捨ててあること
がよくあります。

 お店に返せばお金が戻ってくる瓶(リターナブル瓶
といいます)なので、集めて店に持って行けば小遣い
の足しになるはずなのですが、使い捨て瓶(ワンウエ
イ瓶といいます)が主流の昨今では、リターナブル瓶
とワンウエイ瓶の区別をするよりも、まとめてゴミに
出したほうが簡単だからでしょうか。

 コレクター的に見ますと、リターナブル瓶は最近少
なくなっているせいか価値が高いようです。でも、ワ
ンウエイ瓶はリターナブル瓶に比べ、繰り返し使用の
ための強度を考えなくてもいい分、デザインがある程
度自由にできます。そのため、優れたデザインのもの
も多く、コレクションの価値は充分にあると思うので
すが、一回使えばごみ箱行きという運命ゆえ、残って
いる数は非常に少ないようです。

 コカ・コーラの瓶は女性のスカート姿をイメージし
てデザインされたというのは有名な話ですが、もしも
この瓶がリターナブル瓶ではなくワンウエイ瓶だった
ら、果たしてコカ・コーラは現在のような隆盛を極め
たでしょうか。喫茶店や酒屋さんにコーラの箱が積み
上げられていたり、ルートセールスのトラックが運ん
でいるのを見ることによる「刷り込み効果」が働くの
ではないかと思います。

 さて、コーラによる刷り込み効果といいますと、全
共闘世代の方は火炎瓶を思い出すかと思います。いつ
だったかテレビで「ごみ箱にコーラ瓶が捨ててあると、
火炎瓶を作りたくなる」という話をしていましたが、
本当にそうなのでしょうか。でも、コーラ瓶が捨てて
あるのを見たのは一度しかありません。

 いつも何気なく見ているものが、いつの間にか心の
奥深くに刷り込まれるものです。あなたには何か見た
とたん、思い出があふれ出てしまう物はありませんか。

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