観缶楽学 第8話

 コレクターこそ歴史の証人

 清涼飲料水の収集・研究を始めて今年で8年になり
ます。

 親には「何でこんな物集めるんだ」と言われ、県外
に収集旅行に行けば、行った先で「どうして一本づつ
違う缶ジュースを買うのか」といやな顔をされたりと、
変人扱いされるのが常でありました。
 しかし、昨今の「懐かしモノ」ブームで、テレビや
雑誌にいろいろな物のコレクターが登場するようにな
ったためか、世間のコレクターに対する視線は、以前
に比べれば異端視されることは少なくなったような気
がします。

 何か流行するものがあると真っ先に食いついてくる
のがテレビや雑誌、新聞等のマスコミですが、以前述
べました通り、企業が自社製品を記録・保存している
ことはまず無いので、ライターは企画を通しても写真
に撮るべき物が無かったり、文章を書くための資料も
無かったりして途方に暮れる、というのがお決まりの
パターンです。
 そのような状態になった時、お呼びがかかるのがコ
レクターです。私のところにも電話が来たり、電子メ
ールが送られてきたことがあり、どこで調べたのか不
思議に思うほどです。
 コレクターが見つかってしまえば、お目当ての実物
を持っているのはもちろん、資料もしっかり揃ってい
るので、これで原稿が書けると、ライターは涙を流し
て喜ぶようです。

 つまり、コレクターは明らかになっていない商品の
歴史などを世に知らしめる役割を果たしていることに
より、社会貢献しているのではないかと思います。こ
うでなくとも、こう思わなくては身を削ってまで集め
る張り合いがありませんよね。(自画自賛)

 歴史は元に戻すことができません。無くなってしま
った過去の名品ももう一度手に入れることはできませ
ん。これからも収集家としてだけではなく「隠れた歴
史の証人」として集めていきたいと思っています。

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