消えた逸品・番外編

 二度と飲めない愛しきジュース達

 清涼飲料業界の勃興期である高度経済成長期は、当時の世相同様「モーレツ」な甘さの飲料が主流を占めていた。その後、製造技術の進歩や消費者の嗜好の変化に伴い、茶飲料やスポーツ飲料等、甘味の少ない「水」に近いものが商品化され、また好まれるようになっていった。その流れはもはや変えることはできず、高度経済成長期に「定番」と言われていた商品についても、最近では淘汰が進みつつある。

第1位 キリンオレンジ(キリンビバレッジ)

 結婚式や宴会に欠かせないのがオレンジジュース。各ビールメーカーはどこも自社ブランドのオレンジジュースを販売しており、キリンオレンジも54年の発売より40年以上も続いた定番商品であった。しかし、最近の天然水・無着色ブームで発売された「キリンオレンジ きりり」がヒットしたのを機に、オレンジジュースは完全に「きりり」へ移行、オリジナルのキリンオレンジは96年度をもって姿を消した。

第2位 ローヤルクラウンコーラ(ポッカコーポレーション)

 かつてはコカ・コーラ社、ペプシコーラ社に次ぐ米国三大飲料メーカーであったローヤルクラウンコーラ社が34年より販売しているコーラである。日本においては、以前サントリーが販売していたが、89年からはポッカが販売した。なぜか北海道出身者に人気があったが、コカ・コーラ、ペプシコーラの二大勢力とスーパー等で販売されている安売り輸入コーラには勝てず、コーラ愛好者に惜しまれつつも97年春で終売となった。

第3位 メローイエロー(コカ・コーラ)

 83年発売時のテレビCMで松井直美が「とっても訳せない味!」と叫んでいたメローイエロー。際物商品のように見受けられるが、アメリカではペプシのマウンテンデュー(64年〜)の対抗商品である。日本では一旦終売となり95年再発売されたが、結局その年限りで消えてしまった。マウンテンデューはストリート系飲料として81年の日本発売以来途切れる事無く販売されているのだが、こちらは販売戦略を誤ったとしか思えない。

第4位 UCCザ・コーヒー樽缶(UCC上島珈琲)

 バブル景気時に販売された1缶150円もする缶コーヒー。樽形の缶はもちろん特徴の一つではあるが、当時まだ味覚的にはコーヒー愛好者を満足させる水準に達していなかった缶コーヒー界において、通が満足する味を求めようとした意欲作である。しかしながら、缶ジュース100円時代に150円という価格設定は無理があり、当然の結果として、バブル経済の崩壊とともに92年で姿を消した。

第5位 チャティー(アサヒビール)

 94年発売の甘味料無使用ストレートティー。常盤貴子ちゃんのテレビCMも話題になったが、発売後2年で現在販売されている「ティオ」に代わった。紅茶飲料のメインターゲットは女性というが、あれだけダイエットでカロリーを気にするのに、甘味料が入っていないと売れないというのはどういうことか。どんなに「甘さ控えめ」と書いてある缶紅茶でも、入っている砂糖の量は喫茶店で飲む紅茶の数倍なのだが。

第6位 リボンシトロン・リボンちゃん缶(サッポロビール)

 リボンシトロンそのものは現在も販売されているが、このリボンちゃん缶は93年限りで終売となった。57年12月東京新橋生まれのリボンちゃんも今年で40歳。まだまだ老ける歳では無いと思うが、時代の波には勝てないのかテレビCMも見なくなって久しい。最近元気なバヤリース坊やと並ぶ高度経済成長期のアイドル、再び缶に(生誕40周年記念缶生産希望!)、テレビCMに活躍してほしいと思うのは私だけであろうか。

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