清涼飲料水研究家という仕事故、県外のスーパ ーマーケットまで買い物に出かけるのが楽しみに なっている。新潟県内とは品ぞろえが違うからで ある。清涼飲料水でも新潟には売っていない製品 があったり、その他の食品も地域限定商品があっ たり。また、同じ商品でも食文化の違いから味付 けが違っていたりして、新潟との違いを見つける のがとても楽しい観光になっている。 昨年、今まで新潟市近辺には無かったので、県 外に行ったときに必ず行った大手スーパーが新潟 市近郊へ出店した。新潟資本の会社ではないので、 品ぞろえも何か違いがあるのではと期待して行っ たのだが、プライベートブランド商品以外は地元 のスーパーと全く同じだったので、ちょっと幻滅 してしまった。 ここ数年、大型店の出店ラッシュである。大き なショッピングセンターがあちこちにできている。 また、店舗の改築やリニューアルも盛んに行われ ている。しかし、どこの大手スーパーも建物の規 模、駐車場の広さ、開店時間等が売りであり、他 の店とはひと味違った品ぞろえを売りにしている 店というのはほとんど無い。 つまり現在のスーパーは、牛丼の並・大盛・特 盛みたいに「中身が同じで入れ物だけ違う」とい う状態なのだと感じる。 ハコモノ主義というと、バブルの頃を思い出す。 変に豪華で実用的でない、訳のわからない建物がた くさん建てられた。最近だと首都圏の某百貨店だ ろうか。しかしそのような建物や会社が現在どう なっているかを考えると、最近できたショッピング センターの行く末を不安に感じる。 どうして大手スーパーは品ぞろえで勝負しない のだろうか。これは我々にも原因があるだろう。 均一性を求める国民性ゆえ、みんなで同じものを 買い、同じものを食べる。他の店には売っていない のは許せるが、うちの店だけ売っていないは店も 客も許さない。だから、どこの店でも同じものし か売っていないのではないだろうか。品物の価格 も処分品でなければ大きな差は無い。品ぞろえで 勝負するというのは大型スーパーほど難しいのだ ろう。 ところが、小さなスーパーだと、品ぞろえがユ ニークな店がいくつかある。私の家の近所にも新 潟の一般的なスーパーの品ぞろえとは違う店が何 軒かある。 また品ぞろえを年寄り・子供向けに特化したス ーパーもある。ここは若者向けの品物が無く、使 えないスーパーだとばかり思っていたが、コンセ プトを聞いて謎が解けた。このスーパーの本店に 行ったら、確かにお客はお年寄りと、お年寄りが 連れてくる子供が多かった。どちらの店も店舗は 大きくはないし、綺麗でもないが結構賑わってい る。 つまり、スーパーマーケットは入れ物が重要な のではなく、売っている「物」が重要なのである。 新潟市近郊に出店してくるスーパーは、新潟市 およびその周辺の人口の多さから売上が見込める と思って進出するのであろう。 しかし、新し物好きの新潟っ子(新潟市圏の住民 を指す)は最初は物珍しさに飛び付くであろうが、 熱が冷めるのも非常に早い。建物だけでなく、売 っている物の内容も特徴あるものにしてほしい。 そうしないと客が離れていくのは目に見えている。 それに早く気づいてくれることを願うばかりであ る。